泳げる人にとっては、ごく当たり前のことかもしれません。
でも、泳ぎが苦手な人にとっては、そうだよと言われても、きっと、まだ納得ができていないこと。
それは、水と仲良くなると、性質が変わるということ。
性質が変わるのではなく、そう感じるだけのことなのですが、緊張して体が硬いままだと、水は仲良くしてくれません。
すると、前に進みたいと思っていても、沈みそうになるし、手や足を掻いても前に進みにくく、とにかく必死になって、頑張っていくしかないのです。
疲れるし、大変。
きついですよね。
でも、水と仲良くなっていると、世界がだいぶ違います。
水とは友達だと思い安心して身を任せていると、体から余分な緊張が抜けていきます。
完全脱力とも言えるほどに、緊張を抜いて身を任せる。
水に委ねると、水と体が同化するかのように、感覚が変わります。
すると、ゆったりとした動きをするだけで、推進力が出るのです。
随分昔のことですが、私は、小学校の時にずっと泳げなかったから、中学校の部活動は水泳部にしました。
ずっと泳げないままで、一生いるのは辛い。
ずっとそう思うのは嫌だなと思って、どうにか泳げるようになっておこうと思ったのです。
だから、手をこう使いなさい、足はこうです、引き付ける時や押し出す時はこう。
ノウハウはあれこれ伝えてもらったことを真面目に守って、必死になって泳ぎました。
でも全然前に進みません。
とにかく沈みます。
よく沈みます。
なのに、同級生で体が大きい友達は、ぷか〜っと浮いています。
まるで浮き輪のようです。
数回手足を動かすと、25Mをあっという間に泳ぎきります。
その頃から、なんとなく自分との違いは知っていたのですが、真似をしてみてもやはり私は沈んでしまいます。
水が怖いから。
体がカチカチだったのです。
でも、ここ最近、体が緩み、当時の友達と同じようにしてみたら、急に水と仲良くなれました。
すると、前に進むんです。
全然力を入れていないし、ほとんど頑張っていないのに。
気がついたら、プールの壁から壁へと泳げているのです。
したことはただ一つ、水と仲良くなるために、全てを委ねて身を任せるだけ。
気持ちを、そう持っただけです。
余分な緊張が少しでも残っていると、同化の具合が減ってしまいます。
たったそれだけのことですが、自分には泳げないと思っていた長さが泳げるようになりました。
意識一つで、体が変わるのを、これほどまでにわかりやすい体験ってなかなかできないので、もし、プールの長い方をまだ泳ぎきれないという方は、ぜひ一度、そんな風に意識して、試してみてください。
プールでわかったことは、力を抜くこと。
そのために、恐怖 を減らすことでした。
日常の生活の中だって同じです。
普段意識していない、小さな緊張の存在を知ることで変わります。
その緊張をどれだけ解けるかで、生活の品質は簡単に上がったり下がったりします。
もし、普段も無用な緊張があるのを知っていたり、感じてみたら、その存在に気がついたら、一体どうしたらいいのでしょうか。
泳いでいる時には 水 がそこにありました。
だから、水と仲良くなるように意識したら変わりました。
それは、水に対する恐怖を消すことで変わりました。
普段の生活でも、水 と同じような、ほんの少し緊張させる何かがあると思うのです。
無意識に感じている、それ との関係性を見つめなおしたら、どうなるでしょう。
仲良くすればいいのか、味わい尽くせばいいのか、どうしたらいいのかは、恐怖の質によって違うでしょう。
でも、緊張がどこの恐怖と繋がっているかがわかったら、対策や方法が見つけやすくなります。
だから、もし、小さな緊張を見つけたり、感じたりしたら、それは一体なんでかなー と思いを馳せてみてください。
きっと、そこから感じられることと、繋がりが深い筈です。
小さなことだから、見過ごしやすいことですが、余分な緊張が減った世界はとても楽しいので、どこかで時間を作って見つめてみてください。