再発する凝りと痛み
私は今年で45歳になる女性。
会社員で、主にデスクワークをしている。
業務の内容は言えないけれど、間違いが一つでもあったら困るような、厳しい情報を扱っている。
右隣の席は、一つ下の後輩の田中さん。
二人で、チームを組んで仕事をしている。
小柄で声が可愛い田中さんは、おばあちゃんの知恵袋のように、あれこれ、色々なことをよく知っているので、いつも不思議なところで助かっている。
仕事で正確さを求められるのは、どんな仕事も同じだと思うが、データを使う他部署が頑張れるようにと、これまでミスが一つもないことが私たちチームの誇りだ。
今日の仕事は、量の多さもあったが、いつもとは違うことが求められるので緊張した。
「あー今日は本気で肩凝った。 帰りにマッサージでも行ってくるかな」
「ほんと今日は疲れましたよね」
「でしょ、明日からも忙しいから、この間駅前で配っていたあそこ行ってみるね」
「あ、あのチラシでしょ、良さそうでしたよね」
「田中さんもそう思う」
「はい」
「じゃ、いってみようかな」
「感想教えてくださいねー」
「うん、明日教えるね」
「はい、たのしみにしています」
駅前で配っていたチラシ、痛くなく、丁寧にしてくれそうな感じのところ。
開店したばかりだそうだが、転居して大きくなっているなら、きっと大丈夫だと思う。
田中さんも良さそうに感じていたから結構いいんだと思う。
「こんにちは、はじめてなんですけど」
「はい、こちらにどうぞ、今日はどうなさいましたか?」
「えっと、今日仕事がきつくて、今、肩凝りがひどいんです」
「それは大変でしたね、すぐにご案内できますので、そちらで少しお待ち下さい。」
「あ、そこですね、はい待ってます」
「お待たせしました、こちらにどうぞ」
「はい、お邪魔します」
「肩凝りでしたよね、ではこちらに寝てください。すぐに凝りを解していきますね」
「はい、このベッドですね。 では、お願いします」
「結構凝っていますね」
「ですよね、結構ひどいですよね」
「そうですね、5段階評価で上から二番目くらいの固さですね」
「わ、そんなに固いですか」
「でも、大丈夫、安心してください、柔らかくなりますから」
「はい、おねがします」
「ほら、だいぶ楽になってきましたよね」
「血が通って温かいです、生き返る気がしてきました」
「それは良かった」
「本当助かります」
「あと少しで終わりです」
気持ち良さに、よだれが出そうになりながら「はい」と返事をした。
「はい、終わりましたよ。 よかったですね、結構根深い肩凝りでしたので、今日でよかったです」
「あ、やっぱりそうですか」
「はい、凝りはなってから早いほど回復が早いですから」
それを聞いて、今日来て良かったと、自分の選択を少し褒めてみた。
支払いを済ませて、先生に目でお礼を伝えつつ、
「肩軽くなって良かったです、明日からも快適に働けそうです!」
「あ、それは良かった、また、いつでも来てくださいね!!」
その晩は、ご飯も美味しく、気持ち良く過ごして、爆睡。
本当によく寝れた。
朝、田中さんに会ってすぐ、昨日の感想を伝えたら、一緒になって喜んでもらえた。
こういうところが田中さんの可愛いところだといつも思う。
チームを組んでいるのが彼女でよかった。
で、夕方。
また、肩が少し張ってきた。
凝りの前兆のような嫌な感じ。
え、昨日行ったばかりなのになんで?
そう思って、無意識に肩をぐるぐる回しながら、ふと声に出てしまった心の声。
「昨日マッサージしたのに、今日、そんなに仕事がハードだったかしら?」
隣の席の田中さんが、一瞬こっちをみた。
あわてて「え、うるさかったごめんね」と伝えたら、
「全然大丈夫」 と、そういいながら、小声でこっそり。
「再発ですか? マッサージの後ですぐ凝りが出ちゃうのって、先生の技術が未熟な場合もあるけど、それよりも、もっと大切なことがあるんですよ」
「え、大切な事?」
「そう大切な事。 肩凝りがすっきりしていて、揉み返しもないみたいだから、先生の技術はいいと思うんです。 だからこっちかなと思うんです。」
「そうね、確かに揉み返しもないし、気持ち良さはまだ持続しているから、先生の腕は悪くないと思う」
「でしょ、だから、もう一つの大切な事だと思うんですよ」
「ね、それ早く教えて」
「はい、じゃ、教えますね」
そういって、田中さんが教えてくれたのは、とっても納得できること。
そうだよなと、思えたことはこちら。
「凝っていたいのって、肩でしたよね。」
「うんそう、肩」
「肩の前ってどこか痛くなかったですか?」
「え、そういえば・・・・・・」
「思い出しみてくださいね」
「そういえば、背中かな。 背中もちょっと痛かった」
「背中ですね、じゃあ、背中の前は?」
「えー 背中の前? 思い出せるかな・・・・・・」
「先輩がんばって思い出して」
「うん、頑張る」
「あ、そうだ、腰、というか、お尻の上の方の筋肉もそういえば痛かった」
「そっから前はありますか?」
「え、まだ聞くの?」
「はい。」
「うーん・・・・・・・・・・・・もうないと思う」
「じゃあ、先輩の疲れって、お尻の上の筋肉、腰の下あたりから、背中に来て、肩に繋がっていたんですよね」
「そう? まあそうなるのかなあ」
「続けて出てきたと思いませんか?」
「あ〜、そういえば、確かに」
「お尻の上が痛くなって、しばらくしてから背中、そして肩」
「うんそうだ、田中さんよく見てるね」
「みてないですよ、簡単な誰でもできる推理。 体って連鎖しているので、疲れも順番にたまるんですよ。」
「順番にたまるの?」
「そう、たまるというか、頑張っていく順番、疲れてしまう順番かな」
「お尻のうえ、今凝っているけど、そんなに痛くないでしょ?」
手を当てて考える
「確かに、渋い感じはするけど、凝ってるけどあまり痛くないかも」
「じゃあ背中は?」
「ん? 背中も・・・・・・確かに似てるかも、辛いけど、あんまり痛くはない」
「先輩、鰻屋さんの匂いって、最初は美味しそうだけど、慣れますよね。しばらくすると分からなくなる、 お花だってそう、嗅ぎ続けていると慣れちゃう」
「うん、そうだね」
「先輩の凝りの痛み、今そんな感じなんですよ」
「え、嘘」
「本当。 だからいま、渋いでしょ、辛い感じはあるでしょ」
「確かにある」
「で、肩は最後に頑張ってて、疲れた一番新しい痛み。 だから感じ易いの」
「はー、なるほど、そう考えるとそうかも。」
「でしょ」
「うん、そうかもしれない」
「でね、先輩。 先輩が凝りを解消してもらったの肩でしょ」
「うん、昨日は肩だけだった」
「そこが、さっき言った大切なところなの」
「え、良くわかんないよ、どういうこと」
「だから、まだ背中とお尻の上のところの凝りが残ってるの」
「・・・・・・」
「そう、だから、背中の凝りが、肩凝りを作るし、お尻の上の凝りが背中の凝りをつくっているの、最後のところだけ凝りをとっても出てくるでしょう。」
「そうか、そうなのか、そうだったのか。 いつも、なんですぐにマッサージの効き目が消えるのかと思っていたけど、そうか。 最後だけをやっつけてるからか」
「ね、だから、お尻の上からやっつけるといいんだよ」
「田中ちゃん、大好き」
隣の席に向き合って、つい ぎゅーっとした
「ちょっとちょっと先輩、ここ会社だから忘れないで」
ちょっと見つけにくい、凝りの一番最初の部分。
ぜひ見つけて、そこから解してもらうようにしてください。
最初の部分が解けて、緩み、元に戻ると連鎖して楽になります。
あとは、なぜその最初の部分が発生したかを考えること。
最初が再び出なければ、このあとずっと楽になれますよ。
もし、体の内なる感覚や感度が落ちていたり、あまりの凝りの酷さに回復が望みにくいと思う場合は、こちらのメニューがとてもオススメです。
⏩ リセットプログラム ボディ&マインド
不具合の原点を体に直接聞いて、原点から不調を調えるのが得意なこちら。
本人も忘れていたような、30年前にぶつけたことを伝えて、記憶を探り続け「ああ、そういえば」と思い出されることもよくあります。
特に捻挫などは、痛みが消えても、可動域が減ったり、体重をかけるのが難しかったり、微妙な不調が残っていることがよくあるので、とても気がつきにくいことがあります。
不具合の部位が調う方向にするすると動くだけではなく、生活習慣で生み出していたものが不具合そのものだった場合、どうしたら、再発が防げるかも、しっかり伝えています。
難しいことは続けられないので、簡単にできることばかりをお伝えします。
なので、日常に活かしやすく、気がつけば、どんどん楽になっていくので、辛かったことがあったことを綺麗に忘れてしまいます。